2022年7月よりEIL高校生交換留学アメリカ派遣プログラムに参加した川窪慧さん。今回、ご自身の留学体験を多くの方と共有したいと、レポートを定期的に書いてくれることになりました。
最終回のレポートでは、全体の振り返りを書いてくれました。ぜひお楽しみください!
こんにちは、アメリカのアーカンソー州に約10ヶ月間派遣されていた川窪慧です。今回は、アメリカの交換留学の事と私の留学生活の最後の総括を書こうと思います。
東京の羽田から、アメリカ初上陸のシアトルの空港にて
アメリカへの交換留学まで
ちょうど1年前のこの時期、私はアメリカ交換留学の内定通知がEILから届き、喜ぶ反面、ビザを取るためにアメリカの大使館へ行ったり忙しくしていたのを今でも覚えています。アメリカへ交換留学生として行きたかった私はELTiS という試験を受けて基準のスコアを突破しないといけませんでした。最初はスコアが足らず、第2希望であったイタリアへの内定通知が届きました。しかしアメリカへの希望を諦めきれず、ELTiSを再度受験しアメリカ交換留学への切符を手にしました。
交換留学では
交換留学は留学生を、行く国と国の間で交換するという意味ではなく、「異文化交流」を目的とした留学のことを言います。つまり、「文化の交換」という意味で交換留学と呼ばれています。
また、自分が行きたい国に希望を出すことは出来ますが、州などの細かい情報を決める権限などが無い事も交換留学の一つの特徴とも言えます。つまり私の場合、派遣国にはアメリカを希望する事が出来ましたが、それ以降のことは受け入れ団体がホストファミリーを探す過程などで、私の行く州を決定します。私の場合、最初の3週間(研修期間先)はアメリカへ留学しに行く他の日本人留学生と同じコロラド州だったのですが、長期滞在する州はアーカンソー州でした。コロラド州は、都会でもありますが自然が共存していて、とても魅力的な州でした。
正直な話、場所を知らされる前は「どこか有名な州に運良く派遣されたらいいな」と浅はかに願っていた自分がいました。したがって、アーカンソー州に派遣されると知った時は少しばかり複雑な気持ちになった事を覚えています。また、留学までの日数が近くなると、派遣される州の事をグーグルで調べたりしたのですが、私が派遣された州の事で喜べる情報が特に無かった事を覚えています。またアーカンソー州は南部に位置している州なので、英語の訛りなどによるリスニングに不安を抱いていました。
しかし留学してみると、ネットの情報を鵜呑みにして留学先のことを悲観的に見ていた自分が馬鹿らしくなるほど、留学先の町は素晴らしかったです。また、私が住んでいたかぎり英語の訛りを感じることは全くありませんでした。最後に過ごしたホストファミリーのマザーには、「部屋は空けておくから、いつでも遊びに帰ってきなさい」と言われました。今では本当にアーカンソー州に派遣された事を光栄に思っていますし、私の過ごした町「Russellville」は第二の故郷だと思っています。
アメリカの学校面
私はホストファミリーの移動の都合上、アメリカ留学中に2つのスクールに通う事になりました。今でも鮮明に覚えているのですが、ホストスクールの登校初日は僕の17年の人生で一番緊張をしました。英語がろくに喋れなかったという理由はもちろんですが、日本人が私一人、母国語が通じない町でこれから10ヶ月過ごすのかという気持ちで、より緊張しました。ここで、規模の小さい学校と大きい学校について簡単にまとめてみました。
最初に在籍していた学校は、かなり田舎の本当に小さい学校で、アジア人は学校に私一人だけでした。田舎に派遣されるというのは聞かされていたのですが、正直ここまで田舎だとは想定していなかったです。(ホストファミリーの家は森の中にあり、お隣さんとは200m以上離れてました。)小さい学校という事もあり、他所から来た私が学校の生徒達と馴染むまではかなりの時間(だいたい2〜3週間程度)を要しました。
2つ目のホストスクールは、最初の学校と比べると町の人口も多くマンモス校ともいえる程、規模の大きな学校でした。また、今回の学校は留学生の受け入れも多く、ドイツ、スペイン、ウクライナ、イタリア、ブラジル、スロバキアなど様々な国から来ていました。ちなみに、私の留学生活はこの転校を機にガラリと変わりました。まず、学校の生徒数が多いため、最初は私が留学生だとは認識されないところから始まりました。そのため、私はまず自分が取っているクラスで、日本から持ってきたお土産を沢山の人に配り、日本から来た交換留学生なんだよと伝えるところから始めました。これが功を奏し、かなり多くの人達に私の存在を知ってもらう事ができました。また、アメリカの学校は各授業で学年の壁を(英語のクラスなどを除き)設けていないので、基本的に高校1年生から3年生まで上下関係が全く無いのも日本との大きな違いです。年齢を気にせず平等に接してくれるので、個人的には日本の学校と比較するとストレスが明らかに少なく、過ごしやすかったです。私はこの学校でクラブ(部活)に入った事をきっかけに、残りの留学生活がプラスに働きました。運動ができたらいいなと軽い気持ちで入ったクロスカントリーでは、その後の留学生活をずっと共にする友達を作る事ができました。今までのレポートにも数多くの写真を載せてきましたが、ほとんどの写真に同じ人達が写っていたと思います笑。
私は学校でたった一度だけ先生に怒られた事があります。それは、美術の授業で、粘土を使い銃の模型を作ろうとしたからです。友達からは、賛同され作業を始めたのですが、先生に見られた瞬間「 Break it now! 」と怒られました。やはり銃に関してはとてもシリアスな話になるのだと実感しました。
私は留学前、行くとしたら小さい学校の方が自分に合っているのかなと思っていました。しかし、実際蓋を開けてみれば規模の大きい学校のほうが人との出会いも多く、個人的には小さい学校より過ごしやすく、楽しかったです。
アメリカでのSNS
このトピックは、あくまで私がアメリカに滞在して感じた事なので、参考程度に見ていただけたらと思います。今回はアメリカ人、特に10代がよく使っているSNS(日本人に馴染みのない)を紹介します。これからアメリカへ留学に行く人には、参考にしていただければと思います。
1つ目は、「Snapchat」というアプリです。日本人には聞き馴染みがないと思いますが、アメリカではこのアプリが主流です。私もアメリカ滞在中にアプリを入れました。帰国してもなお、友達とのチャットや電話をする時は、このアプリを使っています。2つ目は「BeReal.」です。これは写真をポストして友人間で共有するアプリでしたが、かなり多くの人が使っていた印象があります。
これらのアプリは留学中の友達作りや遊ぶ時において、とても役に立ちました。SNSの使いすぎは良くないですが、節度を持って使用すれば、10ヶ月という限られた留学生活でも大いに役に立つと思います。
まとめ
私はコロラド研修中に1つ、アーカンソー州に留学中に3つのホストファミリーを経験しました。今までのレポートには楽しかった事柄を多く書いてきましたが、もちろん苦しかったことも同様にたくさんありました。例えば、英語が上手く相手に伝わらなかったり、ファミリーを移る問題であったり、留学中は多くの問題に直面しました。しかし、私が体験したこの10ヶ月の交換留学は、間違いなく私の17年間の中で一番充実した期間でした。今まで書いてきたレポートは個人的にまだ10%程しか紹介していないと思えるくらい、アメリカへの交換留学はとても内容の濃い10ヶ月でした。留学中は、多くの人種や宗教に触れ、それらを深く考える機会にもなりました。どちらも日本に住み続けていればおそらく一生経験出来なかったであろう貴重な体験だったと思います。この経験はこれからの私の人生の糧になると確信しています。
最後に改めて、今回私が経験した留学は多くの方の協力に支えられて出来ました。留学に行かせてくれた、常に応援してくれていた両親、家族、EIL、Green Heart、学校の先生方、留学に関わってくださった全ての方に感謝の気持ちでいっぱいです。本当にありがとうございました。
(写真、文:2022年度アメリカ派遣生 川窪慧)
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