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【高校生交換留学体験談】H.Y.さん(エストニア派遣)Part.4

更新日:6月21日

 EIL高校生交換留学プログラムの2020年夏派遣プログラムは、新型コロナウイルスの感染状況を鑑み、原則としてすべて中止となりましたが、一部プログラム参加の強い希望をいただいた生徒については、派遣先国の状況も見ながらプログラムを催行しています。  そのうちのお1人がエストニア派遣のH.Y.さんです。実はエストニア派遣プログラムは2020年派遣から募集を開始し、H.Y.さんが記念すべき第一号です。「エストニア派遣第一号として、自身の留学体験を多くの方に伝えたい!」との思いで、自ら体験レポートの執筆を申し出てくれました。

 では、第4弾のレポートをお楽しみください♪

 

 振り返るとあっという間で1年が過ぎ、異国の地で新年を迎えました。2020年は様々なことを考え、たくさんのことに挑戦した、とても濃い一年となりました。私の留学も4か月が過ぎ、半年目が始まります。学校に一度も行けなかった一か月でしたが、そんな中で学んだことを書いていこうと思います。


一番大きなイベントのクリスマス

 12月に入ってから、私の家には毎日エルフがやってきて、窓際にちょっとしたお菓子などをおいてくれていました。ホストシスターは毎朝窓際を見に行くのを楽しみにしていて、毎日のようにクリスマスまでのカウントダウンをしているのがとても可愛かったです。もちろん日本同様、アドベントカレンダーを使っている友達もいました。また、毎年この時期にはタリン旧市街でクリスマスマーケットが盛大に行われ、たくさんのお店が並ぶのですが、今年はコロナの影響でかなり縮小され行われました。と言っても、大きなクリスマスツリーが飾られ、小さなメリーゴーランドも設置されていてとてもかわいらしかったです。北欧の伝統的な飲み物の一つにGLÖGGI(グロッギ)というものがあります。これは赤ワイン、砂糖、シナモン、オレンジの皮などを煮詰めた冬にぴったりの温かい飲み物で、レーズンやアーモンドをその中に入れて飲みます(煮詰めているのでアルコールはしっかり飛んでいます)。クリスマスマーケットの出店にあったので飲んだのですが、とても香深く、体の芯まで温まる飲み物でした。このほかにも、旧市街の中には冬限定でアイスリンクが設置されていたりと、寒い国ならではの当たり前を体験しました。また、家に飾るクリスマスツリーも本物のマツの木を使います。


旧市街のクリスマスマーケット

 例年のクリスマスは祖父母の家で親戚家族と集まりお祝いします。近所のお家と協力し、隣の家のおじいちゃんがサンタの格好をして家に来て、子供たちにプレゼントを渡すそうです。私の家では、夜のうちに枕元にプレゼントがおかれていたので、この工夫を聞いたとき、とても面白いと思い興味深かったです。今年のクリスマスはコロナ感染が怖いので、親戚の家でお祝いしました。伝統的な料理が振舞われたのですが、私にとって新しいものだらけでたくさんの新しい味に出会うことができました。その中でも印象に残っているものを2つ挙げたいと思います。一つ目は、Sült(シュルト)という豚の頭を煮こごりにしたものを、透明のゼリー中に入れ冷やしたエストニア料理です。とても薄味で、少し物足りない味でしたが、いかにも健康食だなと感じました。もう一つはブラッドソーセージです。これはヨーロッパでは有名だと思いますが、血の成分が含まれているため、不足しがちの鉄分や亜鉛を摂取することができ、エストニアでは、甘酸っぱいベリー系のソースをつけて食べるのが主流です。私も試したのですが、食感はほかのソーセージに比べ、ねっとりしていて重く、レバーに似ていていました。(私もホストマザーも苦手で好き嫌いが分かれる味という印象です)


親戚宅でのクリスマス

 また、プレゼントをもらうときにもエストニアならではのルールがありました。それは、エストニア語のクリスマスの詩を読み上げてから受け取るというものです。これは、私の家族だけではなく友達の家でも同じだったので、代々受け継がれてきた伝統の一つのようです。エストニア語で読み上げられる詩は、歌のようでとても綺麗でした。私も読ませてもらったのですが、読み終えたときにTubli(いいね)と言ってもらえてことが嬉しかったです。


プレゼントをもらうところ

 今年は祖父母はその場で一緒に祝うことはできないので、電話で話そうということになっていたのですが、サプライズで車を運転してきて、玄関までプレゼントを届けてくれました。片道1時間かかるのにも関わらず、プレゼントを楽しみにしている子供たちのために運転してきてくれる優しさにとても感動し、サプライズが何よりも温かい、大切なプレゼントとなり、記憶に残るクリスマスとなりました。


大みそかと元旦

 私の家では私が留学生として来ているということもあり、日本食を作ってお祝いしようということになりました。そこで、私はポテトサラダ、お好み焼き、おにぎらず、唐揚げを、マザーは卵焼き、ザクロのサラダ、ブルーベリーやオレンジを入れたドリンクを、そして2人で巻きずしを作りました。準備に時間はかかりましたが、とても楽しく、味見をしたこともあり食べる前からかなりおなか一杯になってしまいましたが、これもいい思い出です。このように、日本食がこんなにも離れたところでも愛されていることをとても誇りに感じると同時に、大切な日の食事を日本食にしようと提案してくれたことをとてもうれしく感じます。



 また、年が明ける時には盛大に花火がたくさんの場所で打ち上げられ、家のバルコニーから見ていたのですが、とても綺麗でテンションがとても上がりました。また、ここでも一つ言い伝えがあり、Head Uut Aastat(あけましておめでとう)は男の人から言うことによって一年がいい年になると言われています。そこで、私たちはおじいちゃんからの電話を待ち、そのあとにお互いに言いあい、お祝いしました。

 日本ではおせちが正月の伝統的な料理であり、中身に使われる具材、料理にはそれぞれ長寿や、立身出世などの意味が込められています。このことを紹介したくて、もう一度調べていく中で、重箱の4段目には四ではなく与という字が使われることや、重箱の5段目が空の理由として神様から授かる福を入れる場所であるということなどを新しく知ることができました。このように、留学をするからこそ日本文化に興味をさらに持つことができ、留学先の文化だけではなく、自国のことを深く知れるのが交換留学のいいところの一つのように私は感じます。もちろんこの話を紹介した後、エストニアで縁起の良い食材について教えてもらったので紹介したいと思います。トマト、パプリカ、ザクロは過去を癒す意味や、邪悪的な意味があり、オレンジ、サツマイモ、人参には人生をさらに価値のあるものにするという意味があります。また、レモンは幸福、ほうれん草、バジル、キャベツには、願いがかないやすくなる、ブルーベリーや寿司(ロール状のもの)には一つのことにとらわれず、変化し続ける、心配事を防ぐという意味が込められています。最後に、主食であるジャガイモには緊張を防いだり、ストレスを感じにくくするという意味があります。写真や私の文を読み、気づいた方もいるかもしれませんが、今あげた縁起の良い食材のほとんどを使い、作れる日本食をマザーと一緒に考えて用意しました。ただ新年を迎えるだけではなく、たくさんのことを学ぶことができた年越しのイベントとなりました。



冬の生活

 北欧に近い国ということもあり、ここ最近の最低気温は氷点下10℃でした。外はすっかり白く雪景色です。私は一人っ子なので、兄弟はこんな感じなのかなと思いながら、シスターと雪合戦などをして遊んでいます。エストニアは、日本でいう北海道のような気候なので、2重ドアや暖房が常についていたりと、部屋の中は半袖で過ごせるほど快適です。また、私の実家と異なると感じたことで、暖房ヒーターが壁の下側についているので、暖かい空気が部屋の上に固まりにくいです。そのため、冷えのぼせになりにくいというメリットがありますが、湿度をあまり気にしないので部屋がとても乾燥しているように感じます。



コロナの影響

 日本でも寒くなったことが影響しているのか、感染者が急増し、緊急事態宣言が再び出されるなどとウイルスとの見えない戦いが続いていますが、エストニアでも軽いロックダウンのような措置が取られ、レストランなどは休業しています。学校も1月10日から再開する予定でしたが、感染者拡大を受け、受験生である9年生と12年生のみが分散での登校となり、そのほかの学年はオンライン授業となっています。私にとってやはりオンライン授業で内容を理解するのは難しいため、エストニア語の勉強をしたり、知識の幅を広げるために、社会問題などを調べたりと、日本では時間が足りず手を出せなかったことをしながら時間を過ごしています。


最後に

 これから半年目という一つ節目の月が始まります。まだ4か月ですが、もう1年以上エストニアにいるのではないかと思ってしまうほど、学ぶことの多い密度の濃い日々を過ごさせてもらっています。エストニア語も聞き取れるようになってきましたが、話すことはやはり難しいので4か月目に引き続き頑張っていこうと思います。


(文章・写真 2020年エストニア派遣H.Y.さん)

 

2020年エストニア派遣H.Y.さんの留学体験記はコチラ。


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