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【高校生交換留学体験談】佐藤菫さん(スペイン派遣)

更新日:11月15日

 2021年EIL高校生交換留学プログラム スペイン派遣生の佐藤菫さん。帰国を間近に控え、スペイン留学について振り返ってくれました。


 ホストファミリーとの生活や、スペインの学校で感じた日本の違いなど、多岐に渡って書いてくれましたよ。ぜひお楽しみください!

 

 私は2021年9月からスペインに派遣され、帰国まであとわずかとなりました。これまでの留学生活を振り返りながら私の体験談を書いていこうと思います。



ホストファミリー

 私のホストファミリーを言葉で表すなら「笑」と「食」です。60代のファザーとマザー、そして4人の成人した子供のうち1人のブラザーと1人のシスター、そしてその恋人が一緒に住んでいました。孫もいて、家によく遊びに来ていました。親戚も多く、週末には家でよくパーティーをしていました。踊ったり歌ったり、絶えず笑いが飛び交うとても楽しい家族です。


 なぜ「食」なのかと言うと、ブラザーもシスターもその恋人も飲食店で働いていて、よく家族でそのお店に食べに行っていたからです。マザーもファザーも料理が上手で色んなスペイン料理の作り方を教えてもらいました。マザーはとても愉快な人で、いつも歌を教えてくれました。そして皆の前で披露したり、私がよさこい踊りを教えて一緒に踊ったりもしました。シスターとはケーキやクッキーを一緒に作ったり、二人だけで買い物に行ったりもしました。




スペインの文化

 スペインの人々はパーティーが大好きで、家族や友人と集まってはアルコールを飲んだり踊ったりしています。特にアルコールはスペインの大きい文化の1つで、botellónという知らない人達が集まってお酒を飲むパーティーもあります。法律では18歳から飲酒が認められていますが、実際には14歳の時点で飲み始める人も沢山いるそうです。日本とのお酒への意識の違いに驚きました(もちろん私は交換留学生なので飲酒はしていません!)。

 また、時間の感覚も全く違っていて、朝食は11時、昼食は14時、夕食は22時でした。学校では11時に長い休み時間があり、14時に学校が終わり、そこから家に帰って昼食を食べるという生活でした。午後は自由な時間が沢山あるので、バレーボールクラブに通っていました。

 またスペイン人はとてもオープンな人が多く、知らない人でも友達のように話しています。困っていると気さくに助けてくれるので、シャイな日本人とは真逆だなと日々感じます。留学生の私にもよく話しかけてくれて、沢山の友達ができました。




バレーボールクラブ

 私は小さい頃からバレーボールをやっていたこともあり、こちらでもバレーボールクラブに所属していました。一番はじめに実力テストがあり、各チームに振り分けられるシステムでした。私はシニアチームにリベロとして入りました。私のチームは1年を通してトーナメントがあり、毎週2回の練習と、毎週末に試合がありました。チームではじめてプレーしたときは、年上だらけの環境に緊張で縮こまって声も出せませんでした。会話もままならなかったですが、今までのバレー経験のおかげで自然と何を言っているのかだけは分かりました。練習するうちに少しずつ意思表示もできるようになり、最終的にはとっさの掛け声や意見も言うようになりました。私は自信のあるバレーボールを通して、間違いを恐れずに堂々と発言することができるようになりました。



学校

 ホストスクールは小規模な中高一貫の公立校で、私の学年は2クラスに別れており、1クラスが17人でした。クラスメイトはほとんどが小さい頃からの幼馴染で、男女みんな仲のいいクラスでした。私はというと初日の顔合わせのときに校内で迷子になり、たまたま同じときに同じ場所で迷子になっていた転校生と出会い仲良くなりました。この子は私の最初の友達で、今や一番の親友です。


 最初の頃はスペイン語が全く喋れなかったのですが、友達に助けてもらいながらなんとか授業に置いてかれないようにしていました。5ヶ月が過ぎたあたりからだんだん授業についていけるようになり、数学などでは逆に教える立場になっていきました。いつも助けてもらってばかりだったので、初めて役に立てたことが嬉しかったのを今でも覚えています。

学校では、留学生としてプレゼンテーションなどをさせてもらえる機会がありました。

 1番印象に残っているのが体育の時間に相撲の授業をしたことです。試合ではみんな本気で押し合ったり、男女でもお互いに遠慮することなく積極的に参加してくれて、とても楽しい授業でした。日本の授業では一対一の試合をするとき手を抜く人や男女でやりたがらない人がたくさんいたので、この違いにびっくりすると同時にスペインの雰囲気が羨ましく思いました。

 哲学の授業では、「日本の哲学者について」や「日本とスペインの人類文化学的違いについて」のプレゼンテーションをさせてもらいました。初めてのプレゼンテーションは機械トラブルと緊張で大失敗でした。準備も練習も念入りにしたのにうまく行かなかったことが1番悔しかったです。しかし自分なりにやり方を変えて試行錯誤した結果、2回目のプレゼンテーションは大成功でした。初めて人前に立って話すのが楽しいと感じた瞬間でした。自分でも成長していくのを感じられて、それがやりがいになりました。


 コロナも落ち着いてきた頃、学年でポルトガルに旅行に行きました。リスボンのホテルに泊まり、観光地を巡りました。ポルトガル語を習っていないのにどうするのだろうと思ったのですが、ポルトガル人は大体でスペイン語が話せるので言語の不自由なく過ごすことができました。隣の国なので雰囲気が少し似ていて、カラフルな街並みも綺麗でした。この旅行では今まで話さなかった人とも話せたり、最高に楽しい5日間でした。



ドイツからのホストシスター

 4ヶ月を過ぎた頃、ドイツから1人の女の子が来ました。ホストファミリーがなかなか見つからなかったようで、3ヶ月間同じ家で滞在することになりました。最初はうまくやっていけるか心配でしたが、すぐに意気投合し毎日一緒にいろんなことをやりました。マドリード中心地の様々なお店を巡ったり、共通の友達もたくさんできました。

 スペインでの3月8日のwoman’s dayはデモに参加するために学校を休んだりする人もいたり、一日中ニュースで取り上げられ、とても規模が大きいです。それを見て私も何かアクションを起こしたいと思い、デモに参加できなかった代わりに、スローガンを書いたトートバッグを一緒に作りました。

 私のほうが少しだけスペイン歴が長かったこともあり、色んなことを教えたり、色んな場所を案内しました。そのおかげかこの頃からスペイン語がぐんと伸びたと思います。

 この子は、もともと日本が好きで日本に行きたいと言っていました。そして今年の夏から10ヶ月間日本に留学することが決まりました!日本語の勉強も頑張っていて、日本で会う日が待ち遠しいです。


最後の1ヶ月

 6月のはじめはテストがたくさんあり、勉強とプレゼンテーションで毎日が地獄のようでした。テストが終わるとあとは楽しいことばかりで、学校では授業の代わりに一日中カードゲームをしたり映画をみたりしました。友達とアトラクションパークに行ったり、ピクニックをしたり、プールに行ったり、もう1人の留学生の家族と日本食パーティーをしたりもしました。

 またスペインではマスクの着用がバスや電車などの交通機関のみになり、少しずつコロナ生活の終わりが見えてきています。最初はマスク無しが気恥ずかしかったですが、やはりマスクなしの方が友達の笑顔も増えたように感じます。日本でも早くマスクを外せる日が来ることを願っています。

 今は学校もクラブも終わりを迎え、1人、また1人と別れを告げていく毎日です。楽しいほど時間は早く流れるというのは本当で、1日の終わりには「あぁ、また1日が終わってしまった」という虚無感に襲われます。少しずつファミリーとの別れを意識していき、寂しい気持ちになります。「まだ戻りたくない」「一緒にいたい」と私が言うと、マザーは決まって「así es la vida.」と言います。「これが人生だ。悲しくても別々の道を進まなければいけない。お互いに想っていたらまた会える。」と。ホストファミリーと、いつか夢を叶えて私が設計したホテルに招待するという約束をしました。その約束を果たせるように私は私の道で頑張りたいと思います。



最後に

 この留学を通して色々な人に出会う中で価値観の違いがやっぱりあって、私の中にある「当たり前」、そして日本を見つめ直すいい機会になりました。

 私達はどうしても言語や文化の壁のせいでお互いを誤解しあってしまうときがあると思います。私も実際海外や外国人に対して偏見を持っていた時期もありました。しかし現地の人たちに出会い、たとえ言葉が通じなくても心は通じ合えることに気づきました。こう思えたのもホストファミリーや友達、たくさんの素敵な人達に出会えたからです。私を成長させてくれたすべての出会いに感謝しています。



(文章・写真 2021年スペイン派遣 佐藤菫さん)



 

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